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1.ロケーション・歴史

 

 イーグルス・ネストのワイナリーは、ケープタウン1日観光ツアーなら午後の締めくくりとも言える、カーステンボッシュ植物園から程近く、南アフリカ でも最も高級なワインの生産地の一つであるコンスタンシア地区にあります。世界遺産でありケープタウンを見下ろすテーブル・マウンテンの麓にあるこのワイ ナリーの敷地は、19世紀前半にはケープタウンの東西を行き来する旅人たちの休憩処であったと言われています。

 1984年にミルリー一家がここの38ヘクタールの土地を購入しました。その後2000年に一部の建物を残してほとんど全てを焼き尽くした大火事を 経て、個性的なこの土地の土壌に適したブドウから最高のワインを作るべく、現在の最高責任者であるピーター・スチュアートの10年以上の尽力によって現在 のイーグルス・ネストが成り立っています。

 

2.生産過程

 

 イーグルス・ネストのワイン作りは、3つの要素からなる綿密なブドウ畑の管理から始まります。ひとつは慎重な原木の選別、それから畑の区画単位での木の管理、最後に細心の注意を払っての病気予防です。一年を通して、畑の手入れはすべて人力で行われます。

 イーグルス・ネストでは、入念に幅広い調査を行った上で、その土壌に最も適していると結論付けられた、シラーズ、メルロー、ヴィゴニエの3種のブド ウが栽培されています。その畑は南アフリカの中でも急峻な部類に入るであろう斜面に置かれていますが、独自の工夫により太陽を浴びる時間ができるだけ長く なるように配慮されています。

 ブドウの収穫と醸造は、実の成熟度を見ながら区画ごとに行われます。これにより、それぞれの区画にある風味の特徴や感覚を反映したブドウによるワイ ンが樽詰めされます。滑らかで複雑味のある風味に仕立てるために最良と考えられる、初回~2回利用済のものが組み合わされたフレンチオークのワイン樽に詰 められます。ボトリング前の最後のブレンドにおいて、風味が標準より劣っているワイン樽は、容赦なく破棄されます。

 このように、ワイン作りのそれぞれのプロセスにおける細かい注意が、イーグルス・ネストにしかない個性的な風味と、高い品質を確保しているのです。

 

3.イヌワシ保護活動

 

 イーグルス・ネスト(鷲の巣)の名前は、かつてワイナリー付近を根城にしていたと言われている、コシジロイヌワシ(Verreaux’s Eagles)から来ています。

 コシジロイヌワシは古来からテーブルマウンテン付近に生息しており、1950年代には少なくとも6組のつがいが確認されていました。今は更に減少しており、テーブルマウンテン国立公園の中では、イーグルス・ネストの所有地から6km先の崖に巣を作っていると思われる、たった1組しか確認されていませ ん。

 イーグルス・ネストはこの最後の1組を守るために、パーシー・フィッツパトリック・アフリカ鳥類学会が2003年に開始した「西ケープ猛禽類研究プログラム」を支援してきました。このプログラムが始まって以来、コシジロイヌワシの最後の巣からは、幸いにも毎年ひな鳥たちの巣立ちが確認されています。

 「西ケープ猛禽類研究プログラム」では、この最後の巣のモニタリングに加えて、そこから巣立つひな鳥たちにタグ(と名前)を付けて、巣立ちの後の行き先をトレースするプログラムなどを行っています。これらの活動によって、コシジロイヌワシの保護や研究と、一般の人々への啓発活動が進むことが期待されています。

 イーグルス・ネストの支援もあって、2013年からこの巣を見守るWebカメラが設置され、人々が巣に近づき過ぎてイヌワシ達の活動のじゃまをしなくとも様子を観察できるようになりました。最新の巣の状況は、こちら(英語のみ)からご覧ください。

Eagles' Nest(イーグルス・ネスト)

 

世界遺産でありケープタウンを見下ろすテーブル・マウンテンの麓で、土壌が持つ個性にきめ細かく配慮した赤ワインを作っています。名前のイーグルが示すとおり、イヌワシの保護活動への支援も行っています。

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