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1.ロケーション・気候・土壌

 

 クルーフェンバーグはケープタウンから北東におよそ1時間、風光明媚なリーベック峡谷にあります。その土地はカスティール山の輪郭に沿うような傾斜となっており、道すがらの景色は、通りかかる者すべてを驚嘆させるものがあります(実際、リオムがこちらのワインを購入することになったのも、社員のひとりがドライブ中に景色を楽しもうと一休みするところで、このワイナリーに偶々立ち止まったことがきっかけでした)。

 気候は良くバランスが取れており、暖かくも乾季にははるか大西洋から吹いてくる冷涼な風が、午後の暑さをいくらか取り除いてくれます。山側は特に冬の降水量が比較的多いため、夏の乾季の間には最低限の灌漑が行われます。

 土質は主に頁岩の岩盤に、比較的標高の高いところでは強いローム質の土が載っていて、標高が下がるにつれてこの土地で特徴的なハットン土の割合が増えていきます。

クルーフェンバーグではこの土の多様性を活かして、シラーズ、メルロー、カベルネ・ソーヴィニョン、ピノタージュ、シャルドネ、シェニン・ブラン、コロンバール、ピノノワール、ポンタックなどの多彩な品種のブドウを育てています。

 

2.生産者と歴史

 

 クルーフェンバーグでは18世紀の半ばからブドウが植えられたと伝えられていますが、ここから素晴らしいワインが生み出されるようになったのは、現在3代にわたりこの土地を守り続けているデュトワ家が、1958年に売りに出されていた土地を購入したことに始まります。

 当時の当主の息子であったピーター・デュトワ(二世)は、この土地の気候や土壌、そしてそれらが紡ぎ出すであろう豊かな未来に幼い頃から思いを馳せ ていました。どれほどの幼い頃かといえば、なんと8歳の頃にはこっそり隣の土地を購入するための競売に参加しようとしていたそうです(その試みはどうやら 失敗したようですが、親たちにどれほど怒られたかは記録に残っていません)。

 しかしその夢を彼は後に実現することになります。ただ、せっかく購入した畑のブドウの樹たちは、野放図に曲がっていました。完璧主義者であるピーターは労苦を惜しまず毎日ハードワークを重ねた末に、彼が満足するまでに樹々の形を整えることに成功します。

1998年にピーターは最初のシラーズをワインにしました。その出来具合に満足したピーターは、古いセラーを改修し、このワイナリーにクルーフェンバーグ-アフリカーンス語で「峡谷の地」の意味-と名づけました。

 

 2002年からは当時6歳から13歳だった彼の4人の息子たち、ピーター・ステフとジョハン、アントン、ダニエルがワイン造りに参加するようになり ました。彼らがブドウを足踏みして搾り出した果汁から造られたワインには「エイトフィート(8本の足)」と名づけられました。建物のテイスティングコー ナーの柱には、彼らの身長の伸びを記録し続けた傷跡が今も残っています。

 もっとも、現在もピーターの夢は続いています。今は300ヘクタールになった畑をさらに拡げながら、息子たちに手伝われながら、これからも素晴らしいワインを造り続けていくことでしょう。

Kloovenburg(クルーフェンバーグ)

 

8歳の頃から夢見た農場経営とワイン造りは、現実となって今も続いています。情熱あふれるオーナーが息子たちと共に作る、こだわりのワイン。

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